相続税コラム
借金をすれば相続税対策になるのか
「借金をすれば相続税が減るんだよね」
冗談のような話ですが、このようなことを耳にすることがあります。
相続税の課税価格は以下の計算式で計算します。
A+B-C+D-E=F
F+G=各人の課税価格(千円未満切捨)
A:相続又は遺贈により取得した財産の価額
B:みなし相続等により取得した財産の価額
C:非課税財産の価額
D:相続時精算課税に係る贈与財産の価額
E:債務及び葬式費用の額
F:純資産価額(赤字のときはゼロ)
G:相続開始前3年以内の贈与財産の価額
このうち、借金はEに含まれます。
これだけ見るとたしかに借金をマイナスしているので相続税の課税価格が減っていそうです。では、仮に1,000万円の借金をした時の仕訳の例を以下に表します。
借方 | 貸方 | |
普通預金 10,000,000 | / | 借入金 10,000,000 |
ここでは借入と同時に普通預金も1,000万円増えています。つまり、ただ借金をしただけではそのまま同じ額だけ上記Aの財産の額も増えていますので、EでマイナスしてもFの純資産価額は変わりません。
ここで例えばアパートを建設するように財産価額が額面から圧縮されるようなら金額によっては効果もあるかもしれませんが、表題のようにただ借金をするだけでは相続税が減るわけではないということになります。
参考:国税庁ホームページ
No.4152 相続税の計算
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4152.htm